社会保障費の増大

 2018年度の予算において、社会保障費が過去最大の約33兆円に達しています。国の政策にあてる一般歳出(約59兆円)の半分以上を占めています。高齢化による医療など社会保障費の伸びを5,000億円程度に抑える目標を達成していますが、負担増など痛みを伴う社会保障制度の改革は先送りされています。2018年度予算では、医師の技術料や薬価を決める診療報酬改定で、市場価格に応じて決まる薬価の引き下げにより1456億円を捻出しています。これだけで目標を上回る削減分を確保したため、薬価改定のおかげで、痛みを伴う改革には踏み込まずに済んでいます。
 2025年には団塊の世代が全て75歳以上になり、医療・介護費の急増が予想されます。改革を先送りする時間的余裕はありません。2018年度末の長期債務残高は、1,100兆円を超えます。先進国で最悪の財政状況を改善するには、長期的な改革が不可欠です。消費税率を10%に引き上げた後も、さらなる引き上げを視野に入れねばなりません。社会保障制度と、それを支える税の将来像を一体として考えることが大切です。

(2017年12月23日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

カテゴリー: what's new   パーマリンク

コメントは受け付けていません。