社外取締役の存在感

社外取締役とは、社外の立場にいながら取締役を務める人材を指します。会社の重要な経営方針は、取締役が集まる取締役会で決まります。社外取締役には、社内のしがらみなどの利害関係に縛られずに、第三者の目線で経営をチェックする役割を求められます。経験豊富な経営者や会計士、弁護士などが就くことが多くなっています。東京証券取引所が2015年に上場企業に適用したコーポレートガバナンス・コードは、経営から独立した社外取締役を2人以上選任することを求めています。
国内外の機関投資家が、日本企業に対する議決権の行使基準を一段と厳しくしています。社外取締役による経営の監視を強め、収益性や企業統治の改善につなげる狙いがあります。社外取締役が3分の1に満たない企業が半分近くを占めています。日本企業は長年勤めた内部昇格者で経営陣が構成されることが多く、規律の緩みが収益性の低迷や不祥事を招きやすいとの指摘があります。取締役会に占める独立社外取締役の割合は、主要企業ベースで、米国が85%、英国が61%、ドイツが60%にのぼる一方、日本は時価総額上位の100社でも35%にとどまっています。外国人や女性の比率も低く、社外取締役の多様性でも見劣りしています。私が社外取締役を務める2社では、3分の1以上を占めています。

(2019年6月5日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

カテゴリー: what's new   パーマリンク

コメントは受け付けていません。