禁煙治療スマートフォンアプリの効果

慶應義塾大学の研究グループは、禁煙治療用アプリを新規開発しています。禁煙治療のための標準手順書に準拠し、モバイル呼気中一酸化炭素チェッカーと連動するデジタル禁煙日記、ニコチン依存症についての教育動画、自動応答チャットボットによるカウンセリング機能を搭載しています。さらに患者特性や進捗状況がクラウド上に保存され、外来主治医向けの診療ガイダンスも提供します。これらの機能により、禁煙外来における時間的・空間的制約を軽減し、各施設で提供する治療内容の均てん化の促進を目指しています。
無作為化比較対照試験を行ったところ、9~24週目までの完全禁煙継続率で、治療用アプリ群は対照群に比較して有意に良好な成績を示しています。禁煙治療薬を用いた既存の標準治療に、本アプリが上乗せ効果をもたらすことが示されています。また、治療用アプリ群は、対照群よりも0週時点から52週での喫煙への渇望、喫煙衝動、社会的ニコチン依存度の変化において、いずれも有意に大きな改善幅が得られています。これらの臨床試験結果をふまえて、本アプリが2020年7月に薬事承認されています。国内初のデジタル治療例として、年内にも保険適用を得る見通しです。

 

(2020年8月24日 週刊医学界新聞)
(吉村 やすのり)

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