福島の再建に憶う

福島県や町村自治体は、町や村は、避難指示解除地域が復興するためには子どもを育てる世代が戻る必要があると判断し、総額93億円をかけ、14の小中学校の校舎をそれぞれ新設、改修し、制服や給食費の無料化など手厚い教育環境を整えました。しかし、再開時の児童・生徒数は震災前の3.4%、135人にとどまっています。避難先での生活が定着したほか、解除地域のインフラ不足や放射線量、子どもの数が少ない状況も、再開した学校への通学をためらう一因になっています。
昨年再開したばかりの福島県の小学校が、わずか1年で休校することになりました。国や自治体は手厚い財政支援や特例を認め、まちの再建のためにも子どもや保護者を呼び戻そうと懸命ですが、その道のりは容易ではありません。各町村が学校再開にこだわるのは、学校は町の将来を作るための基礎となるからです。子ども達の笑い声と元気な顔が、地域に希望を与えてくれます。しかし、手厚い教育施策を行うため、国が財源を保証する復興・創生期間は2020年度に終わってしまいます。原子力災害の影響は、予測していたよりもはるかに大きなものがあります。

(2019年3月1日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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