科学分野の男女格差

文部科学省は、2006年に大学への保育所設置や意識改革を促す女性研究者支援事業を始めています。モデル大学を選んで、3年間の補助金を出しています。第3期科学技術基本計画2006~2010年度で、女性研究者の採用目標を25%としていました(第4期以降は30%)。しかし、内閣府の男女共同参画白書によると、日本で女性研究者の割合は穏やかな上昇傾向にあるものの、2017年3月現在で15.7%にとどまっています。海外の水準から比べてもかなり低くなっています。専門分野別でも、薬学・看護などでは約半数を占めているものの、工学、理学で特に低くなっています。

欧州では、論文審査にジェンダー・バイアスがあったことがきっかけに、女性研究者を公平・公正に扱うべきだと認識が広がっています。欧州では、女性研究者が活躍できないことは、人権問題であると同時に、競争力の低下につながると考えています。科学分野の発展には、新しい発想や感性が欠かせません。女性であることは、一つの個性だと思います。女性の持つ可能性を、科学分野の発展に生かしていくことが是非とも必要です。

(2019年3月7日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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