第5次男女共同参画基本計画とは

国の男女共同参画基本計画の第5次計画(2021~25年度)が、昨年末に閣議決定されました。男女が対等に活躍できる社会作りに向けた施策などをまとめたもので、女性登用の目標達成時期を設定し直し、若い女性の声を反映させるなどしています。
政治や経済などあらゆる分野で指導的地位に占める女性割合を、2020年までに30%とする202030の達成が見込めなくなったため、達成時期を先送りして、20年代の可能な限り早期に30%程度としています。特に政治、経済分野での改善が進まず、衆院議員に占める女性比率は9.9%、民間企業の課長級は11.4%にとどまっています。
日本は取り組みの遅れを国際社会から指摘されており、2016年以降、企業に女性登用を促す女性活躍推進法や、女性議員を増やすための政治分野における男女共同参画推進法を相次いで施行しています。法整備されましたが、クオータ制のような強制力はありません。女性を引き上げる立場の政党幹部や企業経営者などの理解がなければ、30%達成は不可能です。新たに設定した目標や計画の趣旨、意義を広く理解してもらう努力をすべきです。
第5次計画では若い世代の要望を積極的に取り入れることで新味を打ち出しています。就職活動中の学生へのセクハラ防止について記述を手厚くし、望まない妊娠を防ぐための緊急避妊薬についても、処方箋なしに購入できるよう検討するとしています。
希望すれば夫婦それぞれが結婚前の姓を名乗ることができる選択的夫婦別姓については、さらなる検討を続けるという記述になり、原案からは後退しています。内閣府が2017年に実施した世論調査では、選択的夫婦別姓の導入について、法改正しても構わないとする容認派が42.5%に上り、過去最高となっています。世論の高まりが、国会での議論につながることを期待されます。

 

(2021年1月8日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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