粒子線治療とは

粒子線治療とは、重粒子線や陽子線と呼ばれる放射線を使い、がんを治療することです。X線を使う従来の放射線治療に比べ、がん細胞をねらいうちできるのが特徴です。今年4月に、前立腺がんと頭頸部がんに保険適用が広がり、治療施設はまだ限られていますが、保険適用によって、高額な医療というイメージは変わりつつあります。
重粒子治療は、放射線医学総合研究所で1994年に臨床試験が始まり、2003年、検査費や入院費など一部に保険が使える先進医療になりました。最初の保険適用は2016年で、筋肉や脂肪組織にできる骨軟部腫瘍の一部が対象になりました。それ以外のがんでは、先進医療のうち、日本放射線腫瘍学会による統一の治療方針で進めるAとして実施してきました。先進医療Aで重粒子線治療を受けた患者数の6割は前立腺がんの患者です。前立腺がんと頭頸部がんは、水素イオンを使う陽子線治療も4月から保険適用になりました。陽子線治療施設は全国に17カ所あります。
先進治療の場合、陽子線、重粒子線ともに、治療にかかる300万円前後は自己負担になります。しかし、今回の保険適用で、高額療養費制度の対象となると、患者の負担は所得に応じて決まり、数万円で収まる場合もあります。

 

(2018年10月10日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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