終末期医療

 終末期とは、一般的には老衰や末期がんなど死期の近づいた場合を指します。人生の最終段階である終末期の在り方を巡り、医療現場では望ましい最期を模索する動きが広がっています。延命装置は苦痛を伴い、患者の尊厳を損なうこともあります。厚生労働省は、終末期医療の決定プロセスに関する指針を策定しています。これを受け、様々な学会などが独自に終末期の定義や患者の意思確認、医療行為の選択について指針を相次いでまとめています。望ましい最期を強調しています。
 わが国においては、近い将来多死社会が到来します。年間の死者数は2040年に168万人となり、今より30万人以上も増える見通しです。現在、日本人の8割近くが病院で死亡しており、多くの人が本人の意思とかかわりなく病院で最期を迎える状況が続けば、医療機関での受け入れも難しくなります。最近は、人生観や療養場所を求めて、事前に患者本人と家族、医師らが継続的に話し合うアドバンス・ケア・プランニング(ACP)の考え方が注目されています。終末期の心肺停止はお迎えが来た状態です。その段階での心肺蘇生法は胸骨が折れるだけで、本人の尊厳を損なう事にもなります。本人の意思だけでなく、あるべき医療を考えていくべきです。

(2018年1月9日 毎日新聞)
(吉村 やすのり)

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