老後レス時代の到来―Ⅰ

高齢者と就業
超高齢化社会による人口減社会を迎え、セーフティーネットである社会保障の継続が負担になってきています。今や我々は、元気なうちは働き続けなければならない社会、いわゆる老後レス社会に立っています。日本という国全体をみても、少子高齢化で若い世代が減り、政府は高齢者を労働力に繰り入れようとしています。少子化による労働人口の減少を補うため、高齢者も働かないと社会が立ち行かない時代に入っています。実際、年をとっても「働きたい」と思う人が多いことは、日本社会にとって福音です。人生100年時代、安心感を持つために個人の自助努力と、社会保障制度をベストミックスさせていかなければなりません。
約半世紀前と比べて、65歳男性の平均余命は10年近く延び、多くの人が退職後に20年から30年を過ごすことになります。健康寿命を延ばし、コミュニティーとつながり続けるために働くという選択が必要になります。日本老年医学会によると、今の高齢者は過去と比べて身体や心理機能の老化の始まりが5~10年遅く、若返り現象がみられています。仮に80歳以上を高齢者とした場合、現役世代1人で何人支えるかを示す従属人口指数は、高度経済成長期と変わらなくなるという試算もあります。年を重ねても働き続ける選択は、自分自身のみならず、この国に希望をもたらすことになります。

(2020年2月24日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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