育休延長目的の保育所落選

育児休業を延長したい人が、落選狙いで保育所の利用を申し込む事例が目立ってきています。育休の延長には、保育所に子どもを預けられないことを証明する落選通知が必要です。育児休業を取得できるのは、法律上は原則として子どもが1歳になるまでですが、保育所に預けられない場合は最長2年まで延長できます。育休取得者には、賃金の50~67%の給付金が雇用保険から支払われるため、延長するには、勤務先を介して保育所の落選通知をハローワークに提出する必要があります。
しかし、この落選通知を得るために、利用する気がないのに人気の高い保育所に申し込む事例が急増しています。待機児童の多い都市部で特に問題になってきています。もともと預ける気がないのに入園が決まってしまうケースがあり、本当に保育所に預けたい人の障害になっています。こうした混乱を防ぐため、厚生労働省は保育所入所の手続きを見直し、申し込みの段階で保護者に育休を延長する意向があるかを確認するよう市町村に求めることにしています。延長希望があり、申し込んだ保育所に空きがない場合には、その後の選考手続きは進めず、落選通知を出します。保育所の定員に空きがあれば入園できるので希望があっても育休は延長できません。
本当に保育所に預けたい人を優先しながら、育休延長の要件を満たす保護者は、今までよりも速やかに落選通知が得られるようにするのが狙いです。育休の延長期間は、2017年10月にそれまでの1歳半までから2歳までに延長されました。これに伴い育休の給付金は、2017年度に4,780億円と前年度から200億円以上増えました。

 

(2018年10月18日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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