育休退園

 育休退園とは、2人目3人目の子どもを出産して育児休業を取った保護者は家で子育てができるはずとの理由で、保育園に通う上の子どもを退園させなければならないことをいいます。育児中は家にいるわけだし、自分で子どもを見るのは当たり前なのではないか、育休退園をめぐってそんな意見は少なくありません。1992年に育児休業法が施行され、さらに復業後の短時間勤務制度を義務づける改正法が2010年に施行され、育休が取りやすくなりました。待機児童が多い自治体は、保育園の空きを作らないと立ちゆきません。育休中に退園してもらうことは理解できるとする自治体は多いようです。
 一方で、育休退園は待機児童の解消にはならないという意見もあります。退園した子どもが、元の園に戻れないリスクもあります。現在の核家族化の状況を考えると、母親が出生まもない子どもの育児と上の子を養育することは容易ではありません。この育休退園は少子化対策とも逆行しています。働く母親は2人目の出産をためらうこともなりかねません。預けたい人も家庭で育てたい人も、それぞれの立場で選べる環境が望ましいと思われます。

(2015年12月8日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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