脱昭和社会への転換

今年度の男女共同参画白書は、昭和時代の意識や家族の形の前提が大きく変化した実態をデータで示しています。2020年の婚姻件数は戦後最少で、40年前に比べて単身世帯の割合はほぼ倍になっています。サラリーマンの夫と専業主婦からなる世帯数が大幅に減少し、共働きが大半になりました。白書に記したもはや昭和ではないは、1956年の経済白書のもはや戦後ではないをなぞっています。
昭和時代は、専業主婦の妻が介護や育児を担う役割分業が主流でした。しかし、今も女性が家族のケアを中心的に担う構造が続いています。共働きが主流になって久しいのに、価値観もシステムも昭和のままです。長時間労働で休みが取れない、社内飲み会に参加が必須は昭和的イメージです。こうして昭和の慣習や考え方をどう乗り越えるためには、学び直しが一つの解となると思われます。
少子化による人手不足やコロナ禍のデジタル化といった社会変化を外圧に、昭和世代の間にも、新しい知識を学ばなければ生き残れないという危機感があります。改めて今の時代に目を向け、デジタルトランスフォーメーションによる生産性向上、SDGsを意識した商品開発、多様性重視の組織づくりなどの今日的な課題に向き合うことが、結果として脱・昭和に結びつくと思われます。

(2022年8月18日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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