脱時間給制度

 脱時間給制度はホワイトカラー・エグゼンプションとも呼ばれ、働いた時間でなく、成果で働き手を評価する仕組みです。生産性向上や年功序列による不公平感の解消といった効果が期待されています。日本企業では、いまだに長く会社にいることを評価する向きがあります。有給休暇の取得もなかなか進んでいません。このような状態では、時間当たりの生産性も上がりません。労働人口が減る中で、労働者をいつまでも会社に長く縛り付けることもできません。脱時間給制度を契機に、日本人の働き方を効率的に変えることも大切です。
 しかし、専門職の仕事を適切に評価することは困難を伴います。仕事量などを客観的な評価基準がないだけに、上司の好みで評価されるのではと危惧する声もあります。日本の労働生産性は、先進国の中でも低い水準にあり、規制緩和を通じた底上げが重要課題になっています。導入には労使の合意が必要なため、働く人に納得感がない制度では普及しません。日本の人事評価の仕組みを再考するきっかけにもなります。評価内容に部下が反論できたり、誤った評価と認められれば上司の評価が落とされたりするなど、上司と部下が対等な立場であることも必要となります。

(2017年7月25日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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