膝疾患の手術件数の増加

厚生労働省の調査によれば、膝の代表的な疾患である変形性股関節症は、国内の患者数が自覚症状のあるケースで約1,000万人で、潜在的な患者を含め推定3,000万人ほどであり、国民の4人に1人程度となる計算です。変形性膝関節症の初期症状は、膝の違和感や歩き始めの痛みなどですが、次第に階段の上り下りなどに支障をきたし、悪化すると日常生活で歩くことも困難になる恐れがあります。
膝疾患の増加に伴い膝手術も年々増えています。最近ロボットなどの最新技術を使った治療が進んでいます。人工膝関節置換術の手術件数も年々増加しています。厚生労働省のデータベースによれば、2019年度で約9万4千件にのぼり、5年で2万件ほど増えています。最新技術の導入で手術のハードルが下がっていることが背景にあります。また、新たな手法の導入で施術数を増やす手術もあります。近年は変形した骨を切ってずらすなどして整える骨切り術が、40~50代の患者の初期段階での治療で広がっています。年間で1万例ほどの手術が行われています。
コロナ禍で外出が減り、膝を痛めるリスクが高まっています。椅子やソファーで過ごす時間が多く、膝を使う機会が少なくなったことが影響しています。40~50代の比較的若い世代でも違和感を訴える人が多くなっています。コロナ禍の膝にまつわる痛みや違和感を、コロナ膝と名付けて警戒されています。膝を動かす時に音がする、膝がふわふわするといった感覚があるなど、変化を感じたら注意が必要です。
緊急事態宣言などが解除され、外出が増えるのに伴い、急な運動で膝に負荷がかかり、痛みを抱えることも懸念されます。ストレッチなどを念入りにしながら少しずつ運動のペースを上げていくことが大切です。

(2022年1月11日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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