臨床法医外来とは

千葉大学病院には、子どもが虐待されているかどうかを専門的に見極め、命を守る臨床法医外来があります。子どもの診療が専門の小児科医と、けがや死亡の原因を鑑定する法医が協力し、より正確に鑑定します。外来は、2018年同病院の小児科にできています。児童相談所や警察の依頼を受けた場合にのみ、体に傷や打撲痕などがある子を診ます。法医学の研修を受けた小児科医や法医学者、法医画像診断医、法歯科医、看護師らがチームで診療し、傷やあざがどうできたか、栄養や発育状態が悪いのは虐待か、病気によるものかなどを鑑定し、児相に意見書を出します。
開設の背景には、児童虐待が社会問題になる中、より正確な鑑定が求められるようになったことがあります。臨床法医学部門は、虐待が疑われる子どもの怪我を検査データから評価したり、実際の子どもの傷をみる生体鑑定はできますが、研究機関なので、血液検査やCT検査などはできません。また、子どもの診療には不慣れです。一方、小児科医は子どもの診療に慣れており、血液・画像検査や治療もできますが、傷がいつどうやってできたのかを評価したり、児相への意見書を書いたりするのは不慣れです。親と子の話が食い違う場合があり、何があったのかをきちんと認識する必要があります。医学的な意見を得られ、親を過剰に疑うことも防げる専門外来は非常に大切です。

(2019年2月19日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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