自殺者11年ぶりの増加

2020年の自殺者数はリーマン・ショック後の2009年以来、11年ぶりに増加しています。女性や若年層の自殺が増えています。新型コロナウイルスの感染拡大を背景に、経済的な苦境に追い込まれたり、孤立に陥ったりする人が増えているとみられます。男性は1万4,055人と11年連続で減少したのに対し、女性は7,026人と2年ぶりに増加に転じました。
年代別では、40代が3,568人(前年比142人増)と最も多く、中高年層の割合が高くなっています。50、60代が減少したほかは増加し、特に20代が404人増の2,521人と、最も増加率が高くなっています。自殺の動機を分析したところ、健康問題が全体の48.4%、経済・生活問題が15.3%、家庭問題が14.8%でした。

自殺者数は2003年の3万4,427人をピークに、減少基調が続いてきました。2006年の自殺対策基本法の制定などで対策が進んだことに加え、景気回復も背景に過去10年で自殺者数は3割減少しました。しかし、2020年はコロナ禍で日常生活が一変しました。他人との接点が少なくなって孤独を感じたり、社会的、経済的に孤立したりする人が増えたことが、自殺者増の要因の一つになっていると思われます。

(2021年3月17日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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