自民党の考える少子化対策に憶う

自民党の『こども・若者』輝く未来実現会議による少子化対策は、児童手当の所得制限撤廃や出産費の保険適用、小中学校の給食費無償化などが柱となっています。焦点の児童手当の拡充策では、一部の高収入世帯を不支給としている所得制限の撤廃のほか、中学校卒業までとなっている支給対象年齢の引き上げを掲げています。子どもが多い世帯への手厚い支援も求めています。現在は原則自己負担となっている出産費に公的医療保険を適用することも盛り込んでいます。
育児休業制度の抜本的拡充を打ち出したことも踏まえ、育休給付金について、両親ともに休業前の手取り額と同額の確保を明記しています。育休制度の対象外となるケースが多い自営業者や非正規労働者らへの経済支援も提案しています。結婚へのハードルとリスクを下げるとして、新婚世帯や多子世帯への住宅支援なども打ち出しています。
教育費の負担軽減策では、高校授業料の実質無償化制度の対象世帯を段階的に拡大し、大学など高等教育費への支援も大幅拡充を求めています。奨学金の支払いが結婚を控えた若者世代で負担となっていることも念頭に、給付型奨学金の拡充も掲げました。
今回の自民党の少子化対策の骨子案はいずれも評価できるものですが、経済的支援だけすれば、若い世代が子どもを持ちたいと思える時代は、既に過ぎ去ってしまったように思えます。家族観、結婚観を含めたわが国特有の風土や社会観を考え直す意識の変革無くして、少子化の危機は突破できないと思います。

(2023年3月23日 産経新聞)
(吉村 やすのり)

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