花粉症に対する舌下免疫療法

 スギ花粉症の治療は、内服薬や点鼻薬でくしゃみや鼻水などの症状を抑える対症療法が主流です。一方、舌下免疫療法は、花粉症をもとから治す治療法です。アレルゲン(アレルギーの原因になる物質)のスギ花粉を、年単位で投与して体を慣らし、アレルギー症状が出ないようにする療法です。ある程度の量のアレルゲンを継続的に体内に入れていくと、逆にアレルギー反応を抑制するような免疫反応が起こります。2014年から、スギ花粉のエキスが入った薬を舌の下に投与する方法が健康保険の適用になり、自宅で治療できるようになりました。
 対象は血液検査などでスギ花粉と診断された12歳以上の患者です。11回、スギ花粉のエキスが入った薬であるシダトレンを舌の下に噴霧し、2分間保持した後、飲み込みます。最初の2週間は、少量から始めて徐々に用量を増やし、以降は最大量を投与します。これを35年間、毎日続けます。治療を始めるタイミングは、スギ花粉が飛ぶ季節が終わった6月以降がよいとされています。
 アレルゲンを体内に入れるため、アレルギー反応で副作用が起こることもあります。多いのは口の中の腫れや喉のかゆみ、口内炎などです。最初の12週間に起こりやすいのですが、ほとんどが一時的です。舌下免疫療法の薬代は3割負担で1日約40円です。他に初診料や処方料、検査代などが必要です。スギ花粉以外の花粉症には効果が期待できません。花粉が飛ぶ時期には治療を始めることができません。


(2018年5月26日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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