若年性認知症

 厚生労働省の調査結果によれば、若年性認知症の推定発症年齢は平均51.3歳です。性別でみると、人口10万人当たりの患者数は男性57.8人、女性36.7人で男性が上回っています。65歳未満に発症する若年性認知症の患者は、全国に約4万人もいます。症状は高齢者の認知症と同じですが、原因は大きく異なります。高齢者の認知症で約7割を占めるアルツハイマー型は、25.4%にとどまっています。若年性で最も多いのは、脳出血や脳梗塞などによる脳血菅性認知症39.8%です。この他頭部外傷後遺症7.7%、前頭側頭葉変性症3.7%、アルコール性3.5%などが続いています。
 現役世代だからこそ、患者は自分が認知症であることを受け入れるのに時間がかかります。家庭を支える現役世代の発症は家族の生活に大きな影響を及ぼします。現役世代の多くは、家族の扶養や住宅ローン、高齢の親の介護などを抱えており、発症すれば本人だけではなく周囲への影響も大きなものがあります。就労の継続や安定した生活を送るための様々な制度の活用、退職後の居場所づくりなど、症状の進行に応じた切れ目のない支援が欠かせません。

(2017年7月24日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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