薬の費用対効果

 厚生労働省は、一般人を対象に、医薬品の投与に対する公的医療保険の支出をいくらまで認めるかを聞く調査を始めます。厚生労働省が費用対効果の議論を進めるのは、薬剤費が社会保障費を圧迫しているためです。2015年度の医療費は415,000億円と前年度に比べて4%近く増加しています。高額な新薬の登場で、調剤費の伸びは全体を大きく上回る1割近い増加でした。効果のわりに高めな薬の価格を下げられれば、医療費の抑制につながります。
 具体的には、新薬の使用で増えた費用と、延びた生存年数にその間の生活の質を加味したQALYという値を組み合わせたデータを製薬会社に提供してもらいます。世論調査の結果と突き合わせて費用対効果を5段階で評価します。悪い、とても悪いと判定された薬は、代わりの治療法があるなどすれば値下げの検討対象とするというものです。費用対効果の仕組みができることで、患者の医療費の支払額には一定の影響が出ます。一般の国民を対象に調査するのは、実際に費用負担する患者の意見を取り入れるためです。

(2017年6月14日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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