血糖値管理

 国民健康・栄養調査によると、2016年に糖尿病が強く疑われる人は、全国で約1,000万人に上るとされ、インスリンの使用患者は130万人を超えるとみられています。糖尿病のためインスリンを自己注射している患者において、血糖レベルを常時確認できる装置が今年から保険適用となっています。指から血を採って血糖値を測る従来の方法と比べ、身体の負担が少ない上、数値の上がり下がりを連続的に見られるため、危険な低血糖になるリスクを減らすことができます。左上腕に500円玉大の白いセンサーを貼付け、そこにスマホを一回り小さくしたような読み取り装置を近づけると、約1秒で皮下のグルコース値が、無線で読み取られてディスプレイに表示させられます。服やコートの上からでも、データの読み取りができます。
 インスリンを使っている患者が最も気にしているのが、インスリンの効き過ぎや過剰な運動によって低血糖状態になってしまうことです。低血糖は発見が遅れると、意識障害や意識不明になるリスクがあります。このため食事の前後や就寝前後など多い人は、1日7~8回も採血を伴う測定を行っています。今回の装置は、連続測定をしているため、変動のパターンをたどることができるほか、血糖値が上昇中なのか、下降中なのかの判断もできます。血糖値の変動のパターンを見て、インスリン注射の回数やタイミングを工夫できます。長期の連続データをもとに患者の血糖の変動パターンを見える化できるので、治療方針の見直しなど的確な指示ができるようになります。

 

(2017年9月28日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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