認知症の予防

認知症患者は、いま全国に500万人ほどいるとみられ、2050年には800万人、場合によっては1千万人を超えるとも推測されています。厚生労働省研究班の調査によれば、認知症にかかる人の割合は、65~69歳では約3%ですが、85~89歳では41%、95歳以上では80%にも達します。長生きすれば、認知症になるのを避けるのは難しいことになります。

認知症のリスク要因として、難聴が大きく注目されています。高齢者を含む中年期以降の難聴は、認知症の要因の9%を占めるとされています。難聴の人はそうでない人に比べ、認知症のリスクは1.9倍あります。聴覚からの刺激が減り、神経活動が落ちるといった直接的な作用や、聞こえないことで社会から孤立しがちになるなどの間接的な影響が考えられています。
認知症につながる要因のうち65%は対策ができない遺伝的要素などが占めています。対策可能な要因には、若いころの教育不足など、高齢になってからではどうにもならないものもあります。予防への期待が高まっていますが、これをすれば確実に防げるといった方法はありません。運動をし、喫煙や生活習慣病を避けることは、がんや脳卒中、心身の活力が落ちるフレイルなどを防ぐことにもつながり、生活の質を上げることになります。認知症の発症には、20~30年前からどんな生活習慣を続けてきたかが、大きく影響するとの指摘もあります。

(2018年8月1日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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