誤嚥性肺炎の正しい予防

誤嚥性肺炎は、ものをのみ込む力の落ちた人で確認された肺炎をいいます。何らかの形で誤って肺に入ってしまった細菌が原因になります。のみ込む力を高めることが予防につながるとされています。しかし、のどを鍛えるだけで誤嚥性肺炎を防ぐことはできません。肺炎につながる誤嚥は、食事中よりも就寝中など、無意識のうちに起こることが多く、のどの筋肉を鍛えるだけでは防げません。たとえ細菌が肺に入っても、咳をして細菌を体外に追い出すことができたり、菌をやっつける抵抗力が体にあったりすれば肺炎になりません。
誤嚥性肺炎は、口から食べることをあきらめる理由にもなっています。誤嚥性肺炎だからという理由だけでは、口から食べるのを禁じる理由にはなりません。とりあえず禁食とした入院患者は、入院からなるべく早く口から食べることを試みた人に比べ、治療にかかる期間が長くかかっています。また、食べないでいると唾液が減って口の中の細菌が増え、再発のリスクがかえって高まります。普段から口腔ケアをして口の中の細菌を減らしておくことも大切です。のみ込む力が完全になくなって、口から食べるのが難しくなっても、丁寧な口腔ケアは必要です。

(2018年11月7日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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