賃金格差

 政府は「同一労働同一賃金」の実現を目指すため、正社員と非正規の格差縮小を掲げています。労働政策研究・研修機構によれば、日本の非正規の所定内給与は、正社員の56.6%に過ぎません。賞与を加えたベースで賃金の格差を試算すると、正社員の時給2,306円に対し、非正規は半分弱の1,112円です。社員1,000人以上の大企業では、正社員の時給2,825円に対し、非正規は1,103円で、3倍近くに広がります。
 日本の場合は、賞与の賃金に占める割合が大きく、賃金の調整に有効という合理性を持ってきました。一方で、賞与の増減で業績の変化に対応できることが、雇用調整を遅らせる要因ともなっています。不採算事業の温存にもつながり、日本の労働生産性が低い一因となっています。生産性が高い産業への労働移動が進めば、結果的に非正規労働者の処遇改善にもつながります。

(2017年3月13日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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