遺伝子検査会社の廃業

 読売新聞の調査によれば、国が2012年度時点で遺伝子検査に携わっていることを確認した国内87社のうち、29社が今年1月までに倒産などで事業から撤退していたことが明らかになりました。この他10社は不明所在が不明で、全体の4割を超える計39社で究極の個人情報と呼ばれる遺伝子情報が管理に懸念が生じています。国は、遺伝子検査ビジネスに厳格な法規制がないことを重くみており、業界の実態調査に乗り出しました。問題となっているのは、医療機関による検査ではなく、唾液などの検体を業者に送る検査結果が返ってくるビジネスです。
 インターネット上で、がんなどの病気の発症リスクが分かるなどと宣伝し、実際の検査は民間検査機関に委託しています。業者が検査結果を基に顧客向けの報告をまとめています。撤退後、遺伝子情報を消去・廃棄するなどのルールは存在せず、数千人分を持ち続ける業者や、紙ファイルに束ねて放置している業者などがあることが確認されています。
 日本医学会は、2012年の段階で検査ビジネスの信用性に疑問があるとする見解を表明しています。遺伝子情報は、悪用されれば就職や結婚の差別につながる恐れがあります。5月に施行される改正個人情報保護法には、必要ない情報の速やかな消去が努力義務として盛り込まれており、業者の情報管理を第三者がチェックできる制度も必要になります。

(2017年3月19日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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