遺伝性乳がんに対する新薬

遺伝性乳がんは、原因の一つに遺伝子BRCA1、BRCA2の変異があることが分かっています。家族性腫瘍の中で最も頻度が高いとされ、乳がん患者全体の7~10%と考えられています。BRCA1、BRCA2は誰もが持っている遺伝子で、紫外線や化学物質の刺激などにより、日々損傷を受けるDNAを修復する機能を持っています。変異があると、遺伝子にできた傷を修復しにくくなり、変異がない人に比べて6~12倍、乳がんになりやすいとされています。
遺伝性乳がんの治療薬として新たに承認されたオラパリブは、PARP阻害剤という種類の分子標的薬で、DNAの修復機構を利用して、がんを細胞死させます。薬の対象は、再発したり手術ができなかったりする状態で、BRCA遺伝子変異のある乳がん患者です。抗がん剤の治療歴があり、がん細胞の表面にあるHER2というたんぱく質の標的が無いことも条件になります。薬は錠剤で基本的には1日2回飲めばよく、外来通院で治療できます。費用は約20万円ですが、保険が使えるため、自己負担はその1~3割となります。

(2019年1月23日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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