里親制度とは

里親とは、虐待や親の病気などの理由で、親と一緒に暮らせない子どもを一時的に家庭に受け入れて育てる仕組みです。約4,200世帯の里親家庭が、約5,400人の子どもを預かっています。虐待などで保護された子どもが、児童養護施設や乳児院などの施設ではなく、家庭的な環境の下で暮らせるように、国は里親家庭で育つ子どもの割合である里親委託率を大幅に引き上げようとしています。
子育て経験がなくても里親になれます。結婚していない人も、子育てまっただ中の人も大丈夫です。まず地元の児童相談所に相談の上、数日間の研修を受ける必要があります。都道府県の審査を経て、里親に登録されます。子どもに面会して相性を確認してから家庭に迎えます。障害があるなど専門的なケアが必要な子どもは、基本的に経験豊富で養育に専念できる専門里親が担当します。一般的な里親を養育里親と言います。
確かに里親になるのは責任の重いことで、担い手は慢性的に不足しています。養育里親には、1人目は月8万6,000円、2人目以降は月4万3,000円の手当が出ます。さらに生活費が1人あたり月約5万~6万円と、医療費や教育費は実費が支給されます。子育てに専念する必要はなく、里親の約4割は共働き家庭です。困ったことがあれば、児童相談所や民間の支援機関がサポートしてくれます。
養育はあくまで一時的なものです。子どもが元の家庭に戻ったり、18歳になって自立したりするまでです。2017年度の国の調査にでは、1年未満が約4割、1~5年未満が約4割、5年以上が2割です。養育里親は、戸籍上も親子になる特別養子縁組や、特別養子縁組を前提に里親になる養子縁組里親とは異なります。子どもの気持ち次第ですが、養育を終えた後も交流は続けることはできます。

(2019年7月29日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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