防犯教育の重要性

子ども安全対策を考える上で、防犯教育は欠かせません。防犯教育は、子ども自身が危険から身を守る能力を身につけることを目的にする必要があります。自ら、何かおかしいぞ、逃げた方がいいなという状況に気づき、危険を避けるために行動できるようになることが大切となります。
セコムIS研究所は、ランドセルを背負った状態と何も荷物を持たない場合で、走る速さがどれほど違うかを調査しています。約50m走ってもらって測定した結果、小学3、4年生の場合、ランドセルを背負わないで走るとタイムが1秒ほど縮んでいます。ランドセルがない方が断然早く走れたという声が多く上がっています。体感的には大きな違いがあることが分かっています。不審者と遭遇した場合、より速く逃げるために荷物を手放すというポイントは重要です。防犯教育には大きく分けて、教室などで講義を受ける座学型と、不審者に遭遇した場合などの行動を訓練する体験型があります。

座学型と体験型をそれぞれ受けたグループに、不審者から逃げる時に気をつけることは何かと質問した時の回答の比較です。座学型のグループは逃げる場所を重視した一方、体験型のグループは、叫ぶ・大きな声を出すや全力で走るといった逃げる方法についての回答が多くなっています。いざという時に助けてもらえる場所を知っておくのは大切ですが、まずは危険な場所から一刻も早く離れる必要があります。逃げるための行動を素早くとるためには、体を動かす体験型の訓練が重要と思われます。

防犯教育は、身を守るために必要なポイントが記憶に定着することが重要になります。座学型・体験型のそれぞれの特徴や受け手の年齢に応じて、印象に残りやすい内容をうまく組み合わせる指導が有効となります。

(2022年6月7日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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