面会交流とは、父母の離婚後や別居中に、一緒に暮らしていない親と子どもが定期的に会って交流することをいいます。当事者間で話し合いが困難な場合は、家庭裁判所に調停や審判を申し立てることができます。面会交流を促進させるための法整備の動きがある一方で、配偶者間暴力などが離婚原因の家庭からは子への影響が懸念されるという反対意見も大きく、意見は対立しています。
面会交流を巡る調停や審判は、2015年に1万4,241件に達しています。2000年2,728件の5倍以上となっています。離婚件数自体は減少傾向にありますが、面会交流の申し立ては増加しています。背景には家族観や価値観の変化があります。従来は母親が主に子育てを担い、離婚後に母親が親権を持つと、父親は子にあまり関与しなくなることが多かったのですが、最近は夫婦で子育てに関わることが増えたため、配偶者と分かれた後も子どもとは関わり続けたいと思う親が目立ってきました。一方、子どもにとって望ましくなかった環境の家庭では慎重な対応が必要です。夫婦の問題と親子の問題は区別して考えるべきであり、別居の親とも会えることは子どもの権利です。
(2017年6月1日 読売新聞)
(吉村 やすのり)