面前ドメスティックバイオレンス(DV)

  全国の児童相談所(児相)が2016年度に対応した児童虐待の件数は、過去最多の122,578件に達しています。そのうち、子どもの前で親が配偶者に暴力を振るう面前ドメスティックバイオレンス(DV)などの心理的虐待が、半数を占めています。その数は年々増加しています。警察や児相が把握していないケースも数多くあると見られ、その実数はさらに多いと考えられています。面前DVから始まっても、一気にエスカレートして身体的虐待などにつながり、子どもが亡くなることもあります。
 激しい夫婦げんかや、無視や暴言などのDVを子どもが日常的に目撃することは、心理的虐待にあたります。面前DVを目撃した子どもは、脳の視覚野が萎縮することがわかっています。視覚野が縮小すると、視覚的な記憶力や知能、学習能力に影響を与えます。心理的虐待は脳や心をむしばみますが、目に見えないので見過されやすい状況にあります。面前DVを経験した子どもは、両親がけんかしているのは自分のせい、自分が悪い子だからだと自責感を持つことも多くなります。無力感や罪悪感を抱え、自己肯定感も低くなってしまいます。その結果、大人になっても生きづらさを抱えがちになります。

(2017年9月28日 毎日新聞)
(吉村 やすのり)

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