頭頸部がんに対する光免疫療法

光免疫療法は、米国立研究所の小林久隆主任研究員が開発しました。がん細胞の表面に多くみられるたんぱく質(EGFR)にくっつく抗体に、光があたった時だけ反応する物質を結合した薬剤を患者に投与します。体外から赤色光を照射すると、薬剤が反応してがん細胞が破壊されます。正常細胞には薬剤がほとんど取り込まれません。さらに、壊れたがん細胞からは、がんの目印となる抗原と呼ぶたんぱく質が放出され、この目印を認識して攻撃する免疫細胞が体内で大量に作られます。
国立がん研究センターでは、咽頭などに腫瘍ができる頭頸部がんが再発した患者など3人で、安全性が確認できたとしています。頭頸部がんに続き、比較的早期の食道がんで、既存の治療が難しい患者を対象にした治験を開始する予定です。リスクが高くて手術を受けるのが難しい早期の胃がんや大腸がんの患者でも、光免疫療法による治療が可能になるかもしれません。

(2019年3月6日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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