風疹の流行

風疹の感染が拡大しています。患者の大半は、働き盛り世代の男性です。妊婦が感染すると、胎児に深刻な生涯を引き起こすリスクがあります。確実な予防法はワクチンのみです。今年発症した風疹患者は、9月30日時点で952人です。昨年1年間の93人の10倍を超え、増加は1万4,344人が発症した2013年以来の勢いです。今年発症した患者の96%が成人です。8割以上が男性で、中心は30~50代です。大人から大人への感染が広がっており、職場や地域、家庭で妊婦や妊娠可能な女性に風疹がうつるケースが最も危惧されています。

 

妊娠20週までの妊婦が風疹ウイルスに感染、胎児にも感染すると、目や耳、心臓に深刻な障害を起こす先天性風疹症候群となることがあります。妊娠初期ほどリスクは高く、母親が感染した場合、妊娠1カ月で50%以上、2カ月で35%、3カ月で18%の胎児に影響が出るとされています。風疹は、インフルエンザと同じく、咳やくしゃみ、会話などでうつります。症状が出る1週間前から他の人にうつり始め、免疫がない人の集団だと、1人の患者からの二次感染の平均は、インフルエンザの1~2に対して、風疹は6~7とされています。

風疹は一度罹るか、ワクチンを受けるかすると体内に抗体ができ、二度と感染しません。1回のワクチン接種では抗体ができない人も5%いるので、2回接種が望ましいとされています。現代の子どもは、小学校入学前に風疹ワクチンを2回受けています。60代以上の世代はワクチンがなくても、幼少期に発症して自然に免疫を得ています。一方で30~50代の男性は風疹に罹らず、ワクチンも未接種のため、抗体を持たない人が多くなっています。風疹ワクチンは3回以上受けても害はありません。

(2018年10月13日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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