風邪に不要な抗生剤

抗菌薬の乱用による耐性菌の増加をどう防ぐことが、世界的な課題となっています。WHOが行動計画を策定したのを受け、我が国も2016年4月薬剤耐性対策アクションプランを策定しています。2020年時点での抗菌薬使用量を、2013年比で3分の2に減らすのが目標です。診療報酬改定で新設されたのが、乳幼児の風邪に不要な抗菌薬を処方しなかった場合にプラスされる小児抗菌薬適正使用支援加算(800円)です。
風邪のほとんどはウイルス感染が原因です。細菌に効く抗菌薬を処方しても治りに差はないことは、様々な研究で証明されています。にもかかわらず、多くのケースで抗菌薬を処方されているのが実情です。根拠に基づかない念のため処方がほとんどです。親からの処方を求めることが多く、不要な抗菌薬処方を減らすには、患者側の意識改革も大切です。乳幼児の医療費は自治体による助成があり、窓口負担はないケースが多いのですが、加算の意味は患者側も認識すべきです。

(2018年8月2日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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