風邪に抗生物質

日本化学療法学会と日本感染症学会の合同調査によれば、ウイルス性の風邪をひいた患者が抗生物質などの抗菌薬を希望した時、約6割の診療所が求めに応じて処方しています。風邪の多くはウイルスが原因で起こります。そのため、抗菌薬はウイルス性の風邪には効果がないとされています。抗生物質を飲めば風邪が早く治るなどの誤解があります。
抗菌薬の大量使用は薬剤耐性菌の増加につながります。危険性が少ない細菌でも、薬剤耐性を持つと感染した人は死に至ることがあります。厚生労働省によれば、抗菌薬の不適切使用対策などを取らなければ、2050年には世界で年1千万人が薬剤耐性菌で死亡するとの推計が出ています。このため、厚生労働省は、2017年6月に軽い風邪や下痢の患者に抗生物質などの抗菌薬の投与を控え、適正な処方を呼びかける医師向けの手引書を公表しています。

(2018年7月20日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

カテゴリー: what's new   パーマリンク

コメントは受け付けていません。