食道がんの治療

 食道がんは、男性が8割以上を占めており、飲酒や喫煙が大きなリスク要因に挙げられています。自覚症状が表れにくく、飲み込みにくさを感じた時には進行していることも多くなっています。年間22,000人余りの人が新たに食道がんにかかり、年間死亡者数は約11,000人と推計されています。食道がんは、早期発見が大切であり、症状が出てからの治療は、開胸と同時に開腹しなければならないこともあり、予後不良ながんです。
 手術は、胸部を通る食道の大半を切除し、胃をのど元まで持ち上げてつなぎ合わせて食道を再建することが多くなります。近接する心臓や肺、大動脈などの重要な臓器を傷つけないように行う必要があり、難易度が高くなります。首、胸部などを切開する開胸手術が主流ですが、小さな穴を数か所開けて、カメラや器具を挿入して行う胸腔鏡手術が増えています。がんが食道内の粘膜の浅い部分にとどまる早期であるなら、口からカメラ付きの管を入れて、がんを粘膜ごと取り除く内視鏡治療が用いられます。その他、抗がん剤などの化学療法や放射線治療、それらを組み合わせた化学放射線治療法があります。がんが他の臓器に転移し手術で取りきれない場合のほか、患者の体力を考慮して手術を回避する際にも行われます。食道がん手術は、がんの手術の中でも特に難しいものの一つです。

(2017年8月6日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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