骨粗しょう症は、閉経期以降の女性が罹りやすく、日本の患者数は男女合わせて約1,280万人とも見込まれています。骨は、破骨細胞と骨芽細胞という2つの細胞が、絶えず古い骨を壊して（骨吸収）新しい骨を作る（骨形成）という新陳代謝を繰り返しています。加齢や生活習慣病などによって、骨吸収と骨形成のバランスが崩れてきます。骨吸収が骨形成を上回ると骨粗しょう症になります。骨がスカスカになり、骨量が減って折れやすくなります。
発症すると、手首や背中、腰、腕や脚の付け根などで骨折のリスクが高まります。中でも脚の付け根を骨折すると、寝たきりになる可能性があり、認知症を招くこともあります。骨量のピークは20歳頃で、20～40歳頃まで骨量はほぼ変わりませんが、その後は男女ともに徐々に減っていきます。特に女性は閉経を迎えて、骨を強くする働きがある女性ホルモンであるエストロゲンの分泌が低下する50歳前後から、急激に骨量が減るケースが多くなります。
検診で骨密度を測定し、自分の骨の状態を知っておくことが大切です。骨密度が正常値でない場合は、医療機関で精密検査を受ける必要があります。骨粗しょう症の予防は、運動や食事など生活習慣の改善が基本になります。
食事では骨の主成分であるカルシウムとタンパク質を積極的に撮る必要があります。牛乳やチーズ、ヨーグルトなどの乳製品はカルシウムが豊富で吸収率が高く、タンパク質も含む、骨強化のための必須食品です。カルシウムの吸収を助けるビタミンDも、骨粗しょう症予防には欠かせません。ビタミンDは日に当たると体内で合成されるので、適度な日光浴も有効です。骨粗しょう症または予備軍と診断されたら、薬物療法を始めます。骨量を増やして骨を若返らせ、骨折をしっかり防ぐには、薬による治療が不可欠です。
（2018年10月27日 日本経済新聞）
（吉村 やすのり）
