高等教育のあり方

 政府は、現在世界最高水準の研究力・教育力を備えるための大学改革を目指しています。大学院教育の在り方を議論している文部科学省の中央教育審議会(中教審)大学院部会は、新産業創出につながるグロ-バル人材の育成を喫緊の課題に掲げています。そのため、世界最高水準の教育力・研究力を備えた卓越大学院(仮称)の創設を打ち出しています。日本学術振興会では科学研究費の改革も進め、今年度からは世界水準で戦える研究者約400人に対し、科研費を自由に使える基金化の仕組みも取り入れています。
世界に通用する大学をつくるには、優れた経営陣と活動を支える資金が必要となります。しかしながら、2004年に法人化した国立大学86校に手腕の優れた経営者は少なく、外部人材の登用も限られています。大学への国の交付金は2015年度に1945億円で、10年前比べ1372億円減少しています。高等教育に対する国の投資額は、わずか国内生産(GDP)比0.5%であり、経済協力開発機構(OECD)加盟国では最低水準です。大学は企業などから基金を募っていますが、目標額にはほど遠い状況です。大学に期待を寄せる割に、社会は大学への支援を渋っているとしかいえない状況です。

(2015年7月29日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

 

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