高血圧の診断基準

米国で高血圧の診断基準が引き下げられたことを受け、国内でも来年春のガイドライン改訂を見据えて議論が進んでいます。米国の学会は、24年ぶりに収縮期と拡張期のそれぞれの血圧を、140/90から130/80に引き下げました。米国の高血圧患者は、推計で7,220万人です。診断基準の引き下げで、患者は一気に1億330万人に増えることになります。診断基準を引き下げた主な根拠は、臨床試験の最新データで、130/80以上でも脳卒中などのリスクが増えると分かったためです。
米国の基準引き下げを受け、2019年春にガイドラインの改訂を控える日本でも議論が進んでいます。もし米国と同様に引き下げれば、高血圧患者は現在の4,300万人から2,000万人増えて6,300万人になります。日本の総人口の半分、成人の6割が高血圧になってしまう計算になります。日本高血圧学会は、9月に開いた総会で、診断基準は変えないという方針案を公表しています。しかし、現在治療を受けている約1千万人の高血圧患者には、少なからず影響を与えることになります。新しい方針案で、治療の目標値が引き下げられたからです。日本高血圧学会の新しい基準案は、今後パブリックコメントを集めた上でさらに議論し、来年4月には正式に決定される予定です。現在治療を受けている約1千万人の高血圧患者は、さらに薬が増える見込みで、厳しい服薬管理が求められそうです。

(2018年10月8日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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