高額がん治療の実用化

 CAR―T療法とは、がんを攻撃するT細胞と呼ぶ免疫細胞を患者本人から取り出し、遺伝子を改変して攻撃力を高めたうえで薬にし、体内に戻してがんを退治する治療法です。遺伝子導入にウイルスを使うため、安全性検査や品質管理のコストがかさんでしまう問題があります。そのため、新しいタイプの超高額がん治療CAR―T療法のコストを大幅に引き下げ、様々ながんで治療を試みる計画が大学で相次いでいます。
 ウイルスの代わりにたんぱく質の酵素を使い、細胞へ遺伝子を導入する技術が開発されています。安全性の検査などを簡略化でき、製造コストを20分の1に抑えられます。1人あたり数百万円で治療できる可能性があります。また、たんぱく質のもとになる核酸で、免疫細胞の攻撃力を向上させ、栄養を供給する血管をたたき、がんを弱らせる方法も考えられています。普及には高額な治療費がネックとなっています。治療法を普及させるには、コスト低減に向けた研究が重要になってきます。

(2018年5月28日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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