高齢者と運転

 高齢化社会にあって、75歳以上の運転免許保有者は急増しています。認知症に限らず高齢ドライバーによる事故は続いており、国も対策を検討中です。特に75歳以上の死亡事故件数が増加しています。逆走したドライバーの年齢層は、75歳以上が45%、6574歳が22%を占めています。地方では車は生活必需品であり、運転できないように規制をすることもできにくい状況にあります。
 個人差はありますが、高齢になれば運転中の危険対象物を認知する力が低下します。事故のリスクを減らすには、運転技能の低下を補う運転の心構えが重要になります。若い世代と比べて、高齢者は運転の客観的評価と自己評価の落差が大きくなります。「私は大丈夫」と自信過剰の傾向があります。運転能力が低下しているのに若い頃と同じような自信を持っています。高齢ドライバーが自分の運転能力を客観視することが安全対策の第一歩です。行政的な支援としては、免許更新時の高齢者講習の実車指導の機会があります。ドライブレコーダーの映像で自分や他の高齢者の運転を観察したり、友人や家族を助手席にのせて、率直な意見を聞いたりするのも大切です。

(2017年7月3日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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