高齢者に対する医療

 日本は世界に誇る長寿国となりましたが、それが医療費を膨張させています。日本人の平均寿命は伸び続け、2016年は女性が87.14歳、男性が80.98歳になりました。一方、高齢になるほど医療費はかさみ、2014年度の医療費約41兆円の3分の1以上にあたる約14兆円は、後期高齢者医療制度に入る75歳以上が使っています。また1人あたりの医療費も、65歳以上では高額になっており、特に85歳以上では100万円以上になっています。比較的余命が短い超高齢者にどこまで医療費を使うのかが問題となります。
 平均寿命を超えたら超高額な薬は使わないことや、治療内容によっては自己負担割合を引き上げることが必要になります。患者の意思が確認しづらい状況で、望まない延命治療が行われる場合もあります。また国立がん研究センターは、高齢の進行期がん患者は抗がん剤による延命効果がみられない可能性があるという研究結果を公表しています。体力が乏しく副作用のリスクも大きい高齢者に、抗がん剤を使用することについては、さらなる検討が必要になります。

(2017年8月26日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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