高齢者の服薬

 厚生労働省の調査によれば、75歳以上の患者で1014種類の薬を服用していたのは20.2%、15種類以上は7.1%であり、10種以上が3割近くを占めています。多剤併用による副作用の症状としては、意識障害や低血糖、肝機能障害、ふらつき・転倒などが多くなっています。薬の種類が多いと副作用は増えます。
 高齢者が服用する薬を減らす取り組みが広がってきています。学会が薬を適切に選ぶためのガイドラインをまとめており、専門外来を置く病院もあります。多くの薬を一緒に飲むと副作用が出やすくなり、特に体力が低下した高齢者に顕著です。出血や転倒などで亡くなるリスクも高まります。日本老年医学会は、昨年11月に「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015」をまとめています。慎重な投与が必要なものとして、抗精神病薬や睡眠薬、鎮痛薬など20領域の代表的な薬剤を例示しています。インフラ設備も必要です。電子カルテが普及し、患者の薬の情報が一元化され、それが共有化されれば、多剤併用は減ると思われます。

(2016年9月18日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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