高齢者の肺炎

 高齢者の肺炎は、大部分が誤嚥性肺炎です。どの細菌が誤嚥性肺炎の原因になるかははっきりしていません。口の中にいる場合が少なくありません。口腔ケアで細菌を少なくすれば予防につながり、嚥下機能を鍛えることで、誤嚥のリスクを低くできます。若い人なら、原因となる菌を抗菌薬でたたけば完治が期待できます。しかし、全身が衰えて誤嚥性肺炎を繰り返すような高齢者は、治療でいったん症状が収まっても完全には治るとはかぎりません。治療中に誤嚥を起こしてまた肺炎、ということもあります。
 老衰などで死が近づくと、肺炎のために呼吸状態が低下しても、さほど苦しさを感じず、眠るように亡くなることが少なくありません。高齢者で肺炎を繰り返す場合、苦痛の緩和を優先して見守ることもあります。呼吸が苦しそうなら管を挿入する人工呼吸器ではなく、鼻に入れるチューブやマスクで酸素を届けます。発熱でつらそうなら解熱剤、呼吸苦には少量のモルヒネを使うこともあります。

(2017年7月5日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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