高齢者を現役世代が支える

 戦後、第1次ベビーブームで生まれた団塊の世代を中心に支え手は増え続けていました。しかし、今や少子化が進み支え手は減少が続いています。2000年には65歳以上の高齢者1人を65歳未満の現役が3.5人で支えていました。しかし、2030年には1.7人で支える計算になります。高齢者の線引きを70歳以上にしても2.4人、75歳以上でも今より少ない3.4人で支える時代がすぐそこに来ています。
 国の財政に余裕がない中、公的保険で何を守り、誰を救うのかを真剣に考えなければならない時代に来ています。年金のもらい手や支え手の年齢の見直しなど、年金制度も抜本的に見直さなければなりません。介護保険も要介護が低くても利用する高齢者が増えている現状にメスを入れなければなりません。終末期患者の3割が積極的治療をしないことを選択すれば、わが国の1兆円近い終末期医療費の3割を削減できることになります。高額薬や終末期医療を公的保険でカバーできなくなる日が来るのもそう遠くありません。次世代にツケを回すことは、将来の患者を見捨てていることになります。

(2017年4月24日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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