高齢者就労

 日本の総人口に占める65歳以上の割合は27%に達し、2060年には40%になると推計されています。現役世代の人口が減少し続ける中で、高齢者の就労を増やさないと、社会・経済の活力を維持できなくなります。少子高齢化で、社会保障制度が揺らいでいますが、高齢者の就労が増えると、年金、医療、介護などの社会保障にとってプラスの影響が大きいものがあります。
 しかし、高齢者の就労について、改革は進んでいません。雇用システムの根本にかかわり、簡単には解決できない問題だからです。年金の支給開始年齢の引き上げなど、政治的に反発を受けやすくなります。定年延長の義務づけには、経済界の反発が強くみられます。正社員を解雇しにくい今の労働法制の下では、定年を延長すれば、企業は人員調整が一層難しくなります。高齢者の就労促進は、様々な痛みを伴います。このため政府は、働き方改革でとりあえず長時間労働の是正などから先に手をつけているのが実情です。高齢者が健康で多様な働き方ができる世の中は魅力的で、社会保障制度の維持にもつながります。

(2017年3月21日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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