70歳定年時代の到来

健康寿命が延びて人生100年時代とも言われるようになってきました。今春施行された改正高年齢者雇用安定法では、70歳までの就業機会の確保が企業の努力義務となりました。老後の生活の柱となる公的年金についても、2020年成立した年金改革法で高齢者の就労を促す仕組みを導入しています。公的年金の受給開始年齢は原則65歳で、本人が希望すれば60~70歳の間で繰り上げたり、繰り下げたりできます。2020年4月からは、受給開始年齢を繰り下げられる上限を70歳から75歳に引き上げます。
受給開始時期を1カ月繰り下げると、65歳開始に比べて年金の受取額は0.7%ずつ増額されます。70歳では42%増、75歳は84%増えることになります。65歳以降も働いて厚生年金の保険料を払い続ければ、年金額はさらに上乗せされます。
公的年金を受給する高齢者世帯の約半分は、年金以外の収入源をもちません。働きたいシニアの就労を後押しすることは、老後の生活を豊かにするだけでなく、保険料の払い手を増やして年金財政にもプラスとなります。在職定時改定や在職老齢年金など、70歳定年時代に適した雇用制度と年金制度の再調整を急ぐ必要があります。

(2021年7月7日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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