ヒト受精卵のゲノム編集

 ヒトの受精卵の遺伝子改変する研究について、米国遺伝子細胞治療学会、欧州遺伝子細胞治療学会とともに、日本遺伝子治療学会は、「当面実施すべきでない」とする共同声明を出す予定にすることにしています。
 中国広州の中山大学のグル-プは、20154月にヒト受精卵でゲノム編集を試みた論文を発表しています。急速な進歩を遂げるゲノム編集技術であるが、比較的簡便で特異性の高いCRISPR-Casシステムを使って、ゲノム編集のヒト胚でのメカニズム、高率及びオフタ-ゲット(狙った標的以外への)効果を調べました。倫理的配慮から、体外受精由来の廃棄される異常胚を用いています。ヒト多能性幹細胞やマウス受精卵でのオフタ-ゲット効果は低いことが報告されていたことから、ヒト受精卵でも期待されましたが、期待に反してオフタ-ゲット効果は高く、ゲノム編集の効率は低いことが明らかとなりました。遺伝子治療への臨床応用には時期尚早であり、課題があるとしています。

(2015年7月30日 讀賣新聞)
(吉村 やすのり)

 

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