孫への贈与

 財産を孫へ生前贈与したり相続したりする人が増えています。節税につながりやすいと考えられています。子に贈与・相続する通常の資産移転では、将来その子が死亡したときに改めて課税されますが、孫に資産移転すれば課税は1回ですみます。税負担が減る理由はほかにもあります。年間110万円の非課税枠を使って毎年コツコツ贈与する暦年贈与では、子が対象の場合、亡くなる3年以内の分は相続財産に足し戻されます。駆け込みでの税逃れを防ぐ狙いです。一方で孫が対象なら原則足し戻しはありません。
 ここ数年、非課税で生前贈与できる制度が拡充されています。特定の資金使途でまとまった額を一括贈与する際に適用されます。最大1500万円までの住宅取得資金、1500万までの教育資金、1000万円までの結婚・出産・育児資金の3つです。いずれも子と孫のどちらも対象ですが、将来の子から孫への相続まで含めて考えると、やはり孫を対象にする方が節税効果は高まるとされています。孫などへ贈与した後に自分が亡くなり、その時点でまだ使い切れずに資金が残っていた場合、教育資金なら相続財産への足し戻しはありません。しかし、結婚・出産・育児資金は使い切っていない資金は、相続税の対象になります。

(2015年8月5日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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