移植後の拒絶反応

 移植後の患者は、通常拒絶反応を抑える免疫抑制剤を生涯飲み続けなければなりません。免疫抑制剤を服用し続けると、免疫力が下がるため、感染症やがんにかかりやすくなるほか、腎不全が発生する確率が高まります。北海道大と順天堂大の研究チームは、生体肝移植を受けた患者10人のうち7人が、免疫抑制剤を2年以上使わずに日常生活を送ることができたことを発表しました。臓器提供者と患者本人のリンパ球などから培養した免疫細胞を使い、移植後の拒絶反応を抑えました。今後、40人の患者を対象とした臨床研究に着手する方針で、将来の保険適用につなげることを目指しています。
 移植前に肝臓提供者と患者の双方から取り出したリンパ球を混ぜ、特殊な液体を加え、他人の細胞を拒絶しにくい制御性T細胞を育てたうえ、移植後の患者の体内に戻します。当初は免疫抑制剤を使用するものの、徐々に投与量を減らし、18カ月後をメドに完全に中止することができます。この臨床研究は3060歳代の男女10人が対象であり、抑制剤の投与をやめた7人の患者に拒絶反応は起きておらず、移植した臓器も正常に機能しているとされています。

(2016年2月19日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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