AIによる病理診断

 がん患者の増加や抗がん剤の効果を調べる検査などが加わり、病理診断の数は2005年~2015年で約2倍に増えています。病理医を希望する医師は少なく、病理医一人あたりの仕事は増える一方です。病理診断のミスは命と直結するため、許されません。病理は体内の組織を顕微鏡で観察し、がんなどの病気を診断します。しかし、病床数400以上の全国の病院(約700施設)の約3分の1には、常勤の病理専門医がいません。常勤医がいても半数近くは1人で、病理医不足の救世主としてAIが注目されています。
 日本病理医学会は、今年2月にAIを使ったがんの画像診断技術の開発を公表しています。病理学会が開発中のシステムは、参加機関が保存する画像をデータベースに集め、ディープラーニング(深層学習)という技術で画像を読み込ませ、がんか否かを判断させるものです。ディープラーニングとは、コンピューターが入力された膨大なデータに共通する特徴を見つけ、それを繰り返し学習することで自ら理解を深めていく技術のことをいいます。試験的に胃がんと、がんに似た良性の症状を判別させたところ、既に7割程度を見分けられました。しかし、実用化できるには、510年かかるとされています。

(2017年3月21日 毎日新聞)
(吉村 やすのり)

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